日本ではフランス刺繍が一般的です。しかし、フランス刺繍以外にも、日本刺繍や中国刺繍、そしてカザフ刺繍という種類の刺繍があるのをご存じですか?カザフ刺繍を知っている人は、そう多くないでしょう。今回は、そのカザフ刺繍についてご紹介します。
カザフ刺繍とは、モンゴル国に住んでいるカザフ民族に伝統的に伝わる刺繍のことです。カザフ民族の女性たちは小さな頃から刺繍を教えられています。カザフ民族が得意とする刺繍技法の中に、かぎ針を用いた刺繍があります。この技法を主に用いるのは、カザフ民族の女性たちの中でも30代から50代の人たちです。彼女たちは、このかぎ針技法を活用して刺繍壁掛け布を作っています。
使用するかぎ針も手作り
カザフの女性たちが活用しているかぎ針は、既成品ではなく、自分たちで作ったものです。彼女たちは鉄でできた棒か、スプーンの先端をヤスリなどで削り作っていきます。手作業での作業になりますし、ある程度の太さのものを選んで作っていきますので、かなり大変な作業になることでしょう。カザフ刺繍は、刺繍だけでなく、使用する道具も手作りでできています。
刺繍壁掛け布を作るのに必要なフレーム
刺繍壁掛け布を作るのに、もう1つ欠かすことができないものがあります。それはフレームです。カザフの女性たちは、完成した刺繍をフレームに貼るようにします。刺繍とフレームを繋ぎ止めるために、太い糸と太い針が使用されます。そのような道具で縫っていくので、当然布には穴が空きます。女性たちは、布を貼り付けた後に、その穴を再度刺繍をして埋めていきます。
刺繍の仕事に熱心に取り組む女性たち
刺繍壁掛け布はかなり大きな面積のものです。平均すると、120センチ×180センチほどの大きさの刺繍壁掛け布が作られています。それ程の大きさのものをカザフの女性たちは早い人で数ヶ月で作るようです。中にはひと月で完成する人もいます。女性たちは小さな頃からこの仕事の大切さを教えられているため、刺繍の仕事に熱心に取り組むようです。
日本でカザフ刺繍を入手するには
日本ではカザフの刺繍壁掛け布を入手することは極めて困難です。しかし、刺繍針を用いた小物類なら入手することはできるかもしれません。入手できる可能性があるのは、「モンゴリアビレッジテンゲル」という那須にある宿泊施設です。そのフロントではモンゴル製品が扱われていて、時々、コースターやポーチなどが入荷することがあるようです。しかし、入荷数はわずかで、すぐに売り切れることもあるため、入手は容易ではないかもしれません。
今回は、カザフの刺繍についてご紹介しました。カザフ刺繍を日本で見る機会はほとんどありませんが、一見の価値があります。なぜなら、カザフ刺繍はカザフ民族の女性たちがひと針ひと針縫い上げたもので、その美しさは見事なものだからです。刺繍壁掛け布は無理でも、刺繍針を用いた小物類は日本でも入手するチャンスはあります。入手したいと思われるなら、モンゴリアビレッジテンゲルに問い合わせると良いでしょう。
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